タバコと健康①
― タバコの害 ―

 タバコの煙の中には4000種類以上の化学物質が含まれ、そのうちの200種類以上は有害物質で、40種類以上の発癌物質が含まれます。中でも、タール、ニコチン、一酸化炭素はタバコの3大有害物質といわれています。
 タバコの煙には、タバコを吸った人がフィルターを通して肺に入れる煙(主流煙)とタバコが直接燃えてできた煙(副流煙)があり、発癌物質や有害物質はすべて副流煙の方に多く含まれます。タバコを吸う人のまわりにいる人は、発癌物質や有害物質をより多く含んだ副流煙を直接フィルターなしに吸うことになり、周囲の人に多くの悪影響を及ぼします(受動喫煙)。
 世界の中で日本の喫煙率は高く、平成10年度の厚生省「喫煙と健康問題に関する実態調査」によれば、成人喫煙率は男性52.8%、女性13.4%で、欧米先進国の約2倍となっています。2000年2月~6月に日本医師会と国立公衆衛生院が行なった調査によれば、男性医師の喫煙率は27.1%、女性では6.8%で、一般成人の喫煙率より低いものの1960年代から低下している欧米医師の10%以下の喫煙率に比べるとまだかなり高い状態です。さらに、年代別の喫煙率は男女とも20代が最も高く、男性57.1%、女性23.1%となっています。また、平成8年度の「未成年者の喫煙行動に関する全国調査」によれば、喫煙率は中学1年生の男子7.5%、女子3.8%、高校3年生の男子36.9%、女子15.6%、鳥取県で1学期に1・2回以上喫煙したことのある者の割合は、中学2年生の男子9.5%、女子4.5%、1ヶ月以内に喫煙したことのある者の割合は、高校3年生の男子33.5%、女子21.0%となっています。喫煙者の多くは未成年期に喫煙をはじめ、成人になっても喫煙習慣が続き、「やめたくてもやめられない」状態となっていくのです。
 今年5月30日世界保健機関(WHO)は、「女性とタバコの伝染-21世紀の試練」という報告書の中で、現在の女性喫煙率は先進国15%、途上国8%であるものが、今後世界各国で上昇し、2025年には世界規模で20%に達し、女性喫煙者数は現在の約1億8700万人から5億3200万人に増えるとしています。特に、日本の20代の女性では1986年の16%が1996年には20%、10代の女性では1990年の5%が1996年の15%と3倍に増加し、将来、女性の4人に1人が間接喫煙を含め、タバコが原因で死亡する恐れがあると警告しています。現在、喫煙に関わる原因で死亡する人は世界で年間300万人とされ、今世紀中に10億人がタバコの害によって死ぬということもいわれています。