タバコと健康④
― 受動喫煙 ―

 タバコを吸う人のまわりにいる人は、フィルターを通してタバコを吸った人から出される煙(主流煙)とタバコが直接燃えてできた煙(副流煙)を直接フィルターなしに吸うことになります(受動喫煙)。特に有害物質の多い副流煙をフィルターなしで吸えば、多かれ少なかれ肺組織への影響は避けられません。受動喫煙によって早死にする危険性は、ガンの原因とされて使用が禁止されているアスベスト(石綿)を使った住宅に住み続けるより500倍の危険性があるといわれています。

 したがって、家族が家の中で喫煙すれば、そのまわりにいる子ども達も被害を受けます。ましてや、妊婦が喫煙すれば、臍帯を通してつながっている胎児への影響は極めて強いものとなります(胎児性タバコ症候群)。以前から妊娠中に喫煙したり、受動喫煙があったりすると生まれてくる子どもが小さかったり、乳児突然死症候群や喘息、風邪などの呼吸器疾患、中耳炎などを起こす危険性が高いということはいわれていました。さらに、妊婦が喫煙していると、喫煙した本数が多いほど、子どもが大きくなった時の身長や知能指数(計算能力)が低いという報告もあります。最近の研究では、子どもが受動喫煙に曝されていると、脳に鉛の蓄積がみられ、知能指数や身体発育にも影響したり、また、妊婦の喫煙は子どもが将来暴力犯罪を犯す率を上昇させるという報告もでてきています。

 米国環境保護局(FPA)が委託研究した喫煙影響調査では、自分で喫煙しなくても他人の吸うタバコの煙による受動喫煙で、米国内で心臓病、肺癌などで年間53,000人が死亡していると報告し、受動喫煙はマナーの問題ではなく生きるか死ぬかの生存権をかけた問題だとされています。

 また、フィルターを含めたタバコの吸殻を飲み込んで死亡する魚や小動物も報告されています。このようなことからも、喫煙は一人だけの問題ではなく、子どもや家族、地球環境へも影響する大きな問題としてとらえ、職場や地域を含めた社会全体が考え、規制してゆく時代になってきています。タバコを吸うか吸わないかは個人の自由ですが、タバコを吸うことはどうゆうことか、タールやニコチンとはどうゆうものかという正しい知識や情報を伝え、まわりの人や環境に与える影響も知った上で、「健康とタバコ」、「愛する人とタバコ」のどちらを選ぶかを考える必要があります。あらゆる分野で情報公開が進められている今、タバコについての正しい知識を学び、自ら選択してゆく姿勢が大切です。タバコを吸わないことは、他人への思いやりができ、まわりのことを考えることにもつながります。家族の誰かが吸っていれば、それがあたりまえの世界となり、その中で育った子どもたちもタバコを吸うのがあたりまえだと思ってしまいます。タバコの自動販売機の撤去やタバコの値上げなど、簡単にタバコが子どもの手に入らないような環境を整備することも大切です。これからは、最初の1本を吸わせないようにすることがとても重要になってきます。