発育期のサッカーにおけるスポーツ外傷・障害④
- 骨端線骨折(骨端離開)-

 発育期は骨そのものが成人に比べて折れやすく、スポーツ外傷で骨折することが成人より少し多い傾向があります。スポーツ外傷の統計によると、全外傷に占める骨折の割合は11~15歳では38.2%で、21~25歳の25.2%よりも多くなっています。骨端線骨折は、この発育期の骨折の中でも決して多いものではありませんが、骨端線という骨の発育に関わるところが骨折するため、その後の骨の成長が阻害され、健康側と比較して短くなったりします。また、関節の近くの骨折のため、関節に変形が生じることもあり、膝、足関節に多くみられます。予後は、骨折の折れ型(骨折型)、骨折部位への血行障害の有無、骨折時の年齢、治療法などに影響されます。
 骨端線骨折の骨折型は、骨折の発生機序、骨折線の方向、骨端線の損傷の程度などをもとに分類したSalter-Harrisの分類が用いられ、成長障害が推測できるようになっています。
 第1型は、骨端線の離開で、骨幹端部と骨端部は完全に離れ、骨端線にある成長に関する細胞層は骨端側に残り、骨端線の肥大細胞層で離開が起こります。骨端部から入ってくる栄養血管は傷つかないので、離開した骨端部と骨幹端部が正しく整復されると、成長障害を起こすことはありませんが、大腿骨骨頭部の骨端線離開は例外です。
 第2型は、骨端線骨折の中で一番多く、骨端線離開に骨幹端部の三角形の骨折が加わります。骨折の凹側、即ち骨幹端部に骨折を起こしている側の骨膜は損傷されず、徒手整復が比較的簡単にできるとされています。骨端線の成長細胞は骨端側に残るので、第1型と同様に徒手整復と外固定で、骨の成長にはほとんど影響ありません。
 第3型は骨折が関節軟骨面に及び、骨端線から骨端線に垂直方向の骨折線があり、骨端線に沿っての離開がありますが、比較的まれです。骨端線離開を起こした部分は血行が保たれているので、手術によって正しく整復されれば(観血的整復、内固定術)、成長に関する予後は良好です。
 第4型は関節面からの骨折線は骨端線を垂直に横切り、骨幹端部に及ぶため手術によって、関節面、骨端線を正しく整復する必要があります。骨端線の早期閉鎖を起こすので、変形を起こすこともあります。
 第5型は骨端部から骨端線にかけての圧挫(圧迫)損傷で、比較的まれです。受傷直後のX線像では明らかでなく、捻挫と診断されることもあります。足関節、膝関節などにみられ、骨端線が損傷されるので、変形、成長障害が起こります。観血的療法(手術)の適応はなく、受傷後3週間は体重負荷を避けます。
 Larsonによると、第1、2型が82%(62例中51例)で、足関節が37.5%と多く、指節骨21%、手関節17%、膝関節10.5%と報告しています。