発育期のサッカーにおけるスポーツ外傷・障害⑤
- オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病 -

 サッカーでみられる慢性の関節障害は、膝、足部、足関節に多くみられます。膝関節では脛骨結節部に発生する骨端症のオスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病が11~15歳の男児に好発します。脛骨粗面の骨突起部(膝蓋靭帯の遠位端の突出部)の骨化過程は10歳頃から前骨端核として生じ、13~15歳になると、脛骨近位部と癒合して舌状突起となります。さらに、16~18歳になるとこの部分全体が骨体と癒合します。
 小学生高学年から中学生にかけて急激な骨成長が起こりますが、骨の成長に筋肉・腱の伸展が一時的に追いつかなくなり、ランニング、キック、ジャンプや急激なストップ動作などが強い衝撃として、大腿四頭筋、膝蓋骨、膝蓋靭帯を通して脛骨粗面(結節部)に反復して加わり、骨端軟骨が剥離を起こして骨端症を発症します。
 症状としては、脛骨粗面の突出、圧痛、運動痛、正座時の痛みなどがあります。単純X線側面像で骨突起部の剥離、硬化像や遊離像が認められます。O脚やX脚などの膝の骨格配列(アライメント)の悪い例で発生しやすいといわれています。
 治療としては、急性期は約3カ月スポーツ活動を止め、安静にします。対症的に、消炎外用剤の塗布や練習後のアイシング(氷による冷却)を行います。発育過程に生じるので、時期がくれば多少の痛みはあっても症状は軽快し、多くはスポーツもできるようになります。運動時に痛みのある時は、ストラップ(オスグッドバンド)などを用いて脛骨粗面直上部で膝蓋腱中央部を圧迫します。アライメントの悪い例では、足底板やヒールウェッジなどで矯正します。症状の程度をBlazinaが膝蓋腱炎について用いた3病相に準じて、3段階に分けて治療を選択します。筋肉・腱の伸展性をよくするために練習前後に大腿四頭筋のストレッチングを行います。骨成長が停止した段階で、骨片があり、その部分の痛みが明らかな時には、手術的に骨片の除去を行います。