発育期のサッカーにおける スポーツ外傷・障害⑥ 
- footballer’s ankle(サッカー足)impingement exostosisインピンジメント外骨腫症 -

 サッカーでみられる慢性の関節障害は、膝、足部、足関節に多くみられます。足関節の慢性の関節障害でよく知られているのは、footballer’s ankle(サッカー足、impingement exostosisインピンジメント外骨腫症)で、若年よりサッカーをして、足関節をくり返し過度に背屈や底屈することにより、距骨と脛骨下端全面とがぶつかって骨棘が形成されたものです。また、キック動作時によるインパクトが、横足根(Chopart)関節(距舟関節と舟丘関節)周囲に集中して足舟状骨背側縁の不整、先鋭化、分離などの変化もよくみられます(図)。X線像で確認されても、痛みを伴うことはまれで、過背底屈にて、衝突した時や骨折をおこして症状がでてきます。これらがまれに関節内遊離体となって、2次的に軟骨を障害します。小児期、成長期の使いすぎによる後遺症としておこる障害であるという認識が必要です。
 診断は、X線上で実際に機能撮影を行って衝突を確認します。部位や遊離体の確認に関節造影も行われます。
 治療はテーピング、サポーターなどで関節の動きを制限したり、アイスマッサージをしたり、消炎鎮痛剤を投与したりします。保存的治療として局所ブロックを行ったりしますが、骨棘が大きい時や遊離体となって症状が強く、運動の妨げになれば、手術的に骨棘を削ったり、除去、摘出を行います。関節内遊離体は軟骨の損傷をおこすため早期に摘出する必要があります。
 足関節の捻挫の後、早すぎる練習再開やプレー復帰による血腫や腫脹の増悪は本症を起こしやすくするため、捻挫後、適切な期間の固定、安静が大切です。テーピング、サポーターを用いてのリハビリテーション、適切なシューズの選択、一定期間のスパイク使用の禁止、グランドの環境整備なども必要です。
 その他の足部の骨障害として、有痛性外脛骨や距骨後面にみられる三角骨(Os trigonum)、種子骨、副骨などがあり、骨折との鑑別が必要です。