発育期のサッカーにおけるスポーツ外傷・障害⑫
― 骨化性筋炎 ―

 骨化性筋炎は、筋肉の炎症に引き続いてカルシウムが沈着し、石灰化現象が起こり、筋肉組織の中に骨が形成されます。大腿部前面に強い打撲を受けた後によくみられます。
 Charley horse(チャーリーホ-ス)の後に、筋肉内血腫が広範で、適切な処置が行われず、痛みを無視して筋肉を激しく使ってしまうことで起こります。
 症状としては、筋肉内に硬結ができ、疼痛(痛み)、筋力低下、筋肉の柔軟性の欠如などによる運動制限がみられます。
 打撲を受けた筋肉を一定期間、十分に休めて治療すれば、血腫も吸収され、骨化性筋炎になることはありません。他に、しこりのある筋肉を強く揉むようなマッサージや、リハビリテーションの段階で、痛みを無視した大腿四頭筋のストレッチングなどでも起こります。
 受傷後2~6週程度で石灰化像が現れますので、1ヶ月を経過しても大腿部に腫れと圧痛があれば、X線写真をとって、石灰化がないかどうかを確認します。
 症状は数ヶ月持続し、スポーツ復帰までは6~9ヶ月かかることもあります。明らかな骨化があり、症状が軽快せず、運動に障害をきたすようであれば、手術的に摘出しなければならないこともあります。
 受傷後、筋肉内に瘢痕を形成すると筋肉の伸展性が減り、極端に再受傷しやすくなります。リハビリテーションは可動域の減少と筋力低下を予防するために、可能な限り早期(受傷後1~2日以内)に開始しますが、素人判断で行うと、回復を遅らせることもあり、程度に応じた訓練を医師や理学療法士にきちんと指導してもらうことが大切です。