― 自律訓練法② ―

 自律訓練法は、心と体をつなぐ自律神経を自分でコントロールし、リラックス状態を作るための訓練です。
 空腹時は避け、排尿をすませてから、静かで落ち着ける部屋などで、ベルトなどの身体を圧迫するものは緩めて、ゆったりした状態で始めます。
 横になって行う時は、ベッドや布団に仰向けになり、掛け布団は掛けずに、枕は首筋までいれ、首に力が入らないようにします。両腕は身体の両脇に自然に伸ばし、両足は少し開いて伸ばします。椅子に座って行う時には身体の力を抜いて、手は膝の上に置き、膝や脚は適度に開いて楽な姿勢で行います。
 標準練習には、背景(基本)公式と6段階の公式の7つの公式からなります。
背景公式(安静練習):「気持ちがとても落ち着いている」
第1公式(四肢重感練習):「両腕両脚が重たい」
第2公式(四肢温感練習):「両腕両脚が温かい」
第3公式(心臓調節練習):「心臓が静かに規則正しく打っている」
第4公式(呼吸調節練習):「とても楽に呼吸(息)をしている」
第5公式(腹部温感練習):「お腹(胃のあたり)が温かい」
第6公式(額部涼感訓練):「額が心地よく涼しい」
消去動作
 まず、ゆっくりと目を閉じ、口は軽く開けて、深呼吸(腹式呼吸)を行い、自分が落ちついている状態を意識します。気持ちの落ちつくようなイメージを思い浮かべながら、「気持ちが落ちついている」と心の中で数回繰り返します(手順1~2)。
 利き腕から順に「筋肉の緊張がどれてダラーンとした状態」をイメージして、腕と脚に「重さ」を感じるようにします(手順3~9)。次に、利き腕から順に「ひなたに出ている状態」「お湯につかっている状態」などのイメージを思い浮かべながら、「温かさ」(血管が拡張して、血流が良くなった状態)を感じるようにします(手順10~16)。1回の手順は3~5分かけて行います。腕や脚に「重さ」や「温かさ」を感じることによって、リラックスした状態を自分で作り出すことができるようになります。
 第3~6公式は第2公式までマスターできた人が行いますが、動悸を強く感じたり、過呼吸や喘息発作を起こしたり、胃腸症状や精神症状が増悪したりすることがあるので、第2公式までを繰り返すことでも十分効果は出てきます。
 自律訓練法を行った後は、身体の筋肉が弛緩し、心身ともにリラックスした状態になるため、そのままでは立ち上がったりすると、めまいや脱力感、頭重感がおこります。このため、朝や昼に自律訓練法を行った後は、体を活発に動かせる状態に戻すために、取り消しの動作(消去動作)を行います。
 まず、目をつぶったまま力いっぱい拳を握り、「腕を曲げ、次に、思いきり腕を伸ばす」腕の屈伸を数回繰り返し、全身にしっかり力を入れてグーッと背伸びをして、深呼吸をしてから、目を開けます。ただし、この取り消しの動作は睡眠前は行わなくてもかまいません。