ふくろうに寄せて

思い起こせば、1991年春に、周りに同年齢の幼児がいないことから、次男の子育てに大好きな絵本で仲間作りをしようとの思いつきからはじめた「え本の会『梟』」です。

当時、倉吉の図書館さんも快く賛同してくださり、館長さん自ら、大きな梟のポスターを作って図書館の入口に貼ってくださりと、温かな見守りの中からスタートさせていただきました.。そのときの嬉しかった思いと、感謝の気持ちは忘れることができません。

以後、参加者がテーマにそった絵本を持ち寄り、集まった親子に読んで聞かせていくという形で、誰にでもできる方法で進めています。その中で、同じえ本の読み聞かせでも読み人が違うと伝わり方が違うことを学んだり、読み方の参考にしたりとしています。

同時に、親へのディスカッションテーマを設け、林明子さん、筒井頼子さん、黒井建さん、.渡辺茂男さん、いわむらかずおさん達について、その都度作品集を作り、全ての本を読みあい、意見交換などをしたりということもしました。

15年前にもなってしまいますが、家族で、岩村さんの雑木林に囲まれたお家へ遊びに行かせて頂いたことがあります。まだ、2歳と4歳だった息子達は、庭で動物達と遊ばせて頂き、チャボが卵を産むところを見ることができ、産んだ卵を「もって帰るの?」の岩村さんの一言で倉吉まで持ち帰りました。いわむらさんのご生活が、そのまま絵本の舞台となっていることを見せていただき、感動多きひとときでした。

本好きな仲間と集まり、本を読む、作者のことが知りたくなり、連絡をとってみたり、本の舞台に出かけたくなったり・・・。

3月には、本好きな知人のお誘いで、3人の子どもを連れ、緑多き自然の豊かなドイツの旅を楽しんできました。外へ出かけるたび、自分の心がほんの少し豊かになった、そんな思いです。

「梟」の名は、学生時代の研究室の会報誌“OWL”からとったもの。ミネルヴァのふくろうの止まり木に“Festina Lente”――「ゆっくり急げ」と刻まれています。友人は、日々“Festina Lente”の精神で研究に携わり、論文発表に至っている。主婦の私にできること!?“Festina Lente”の思想を子育てにと、先回り教育であってはいけないが、愛情をかけ、刺激を与えて、多くの体験は必要との考えを当てはめ、え本を通して親子のふれあいをもつことで、少しでも心豊かにと祈り、教授亡き今でも「梟」に見守られていることに力強さを覚え、仲間と絵本を楽しみながら、ともに親子で向上できたら・・・と、自分にできるふれあいの場を提供し、今日に至っています。

2005年10月 K.M

iwamura001
1991年4月 栃木県益子町のいわむらさんのアトリエで☆

鳥取県倉吉市で絵本の読み聞かせを行なっています